北朝鮮による拉致問題を啓発する目的で制作されたアニメ『めぐみ』について、一部の自治体が小学校や中学校での児童・生徒向けの上映を拒否していることが、Select:Japanの取材で明らかとなった。
アニメ『めぐみ』は、昭和52年に当時中学一年生だった横田めぐみさんが北朝鮮工作員によって拉致された実際の事件をモデルに制作されたドミュメンタリー作品。原作には横田めぐみさんのご両親も関わっている。
実は、このアニメを企画・制作したのは日本政府の拉致対策本部だ。とくに若年層に拉致問題の実態を知ってもらうためにアニメ化され、政府から各自治体および教育委員会にDVDで配布されている。
このアニメを、拉致問題啓発のために積極的に活用している自治体は多い。平成29年12月10日、福岡県築上町では拉致被害者・田口八重子さんの長男である飯塚耕一郎さん(家族会事務局次長)を招いて講演会を開催する際、併せてアニメ『めぐみ』を上映している。
また、熊本県などでは県内の小学校・中学校・高校での上映を進め、その意義や目的についても詳細な資料を学校向けに作成・配布している。
アニメ『めぐみ』の上映を拒否しているのは福岡県内のある自治体だ。当該自治体の地方議員から寄せられた情報によると、学校での上映を拒否しているのは教育委員会であるという。
政府が企画・制作した作品をなぜ、教育委員会が拒否するのか。その理由は驚くべきものだった。「子供達に拉致問題の実態を知らせると、在日朝鮮人子弟へのイジメを引き起こしかねない」というのだ。いったい何を根拠にそのような危惧を抱くのか、実例があるのかも定かではない。
くだんの地方議員は、本件を含めた当該自治体における拉致問題啓発活動について公開された議会の場で直接質問する予定だ。今回の「めぐみ上映拒否事件」についての詳細は、議会質問後に改めて報じたい。
▽アニメ「めぐみ」公式サイト(拉致対策本部)
https://www.rachi.go.jp/jp/megumi/gaiyou.html
【12/12 18:25 追記】
本記事においてアニメ『めぐみ』の上映を拒否しているのは行橋市教育委員会であり、本日の本会議にて教育長が「このアニメを行橋市の子供達に見せると、在日朝鮮人をいじめる懸念がある」と明言した。質問者は小坪慎也議員。